相関係数を学ぶと、
- 2つの変数に相関がある
- 相関係数が大きい
- 正の相関、負の相関
といった見方ができるようになります。
ただ、実際のデータでは、
2変数の見かけ上の相関が、第三の変数の影響で生じている
ことがあります。
そこで使うのが 偏相関係数 です。
偏相関係数は、
他の変数の影響を取り除いたうえでの相関
を見る指標です。
統計検定2級では、定義そのものよりも、
- 普通の相関係数と何が違うのか
- 「他の変数を固定する」とはどういう意味か
- 偏相関係数が小さい・大きいと何が言えるか
を理解しているかが重要です。
この記事で分かること
- 偏相関係数とは何か
- 相関係数との違い
- 第三の変数を固定する意味
- 偏相関係数の計算式
- 統計検定2級での典型的な問われ方
偏相関係数とは?
偏相関係数とは、
ある2変数の相関を、他の変数の影響を除いて見たもの
です。
たとえば、
- :勉強時間
- :テスト得点
- :学力水準
を考えるとします。
勉強時間とテスト得点には相関がありそうですが、
その一部は「もともと学力が高い人ほど勉強時間も得点も高い」という影響かもしれません。
このとき、学力水準 Z の影響を取り除いたうえでの X と Y の関係を見るのが偏相関係数です。
相関係数との違い
普通の相関係数は、
2変数をそのまま比べた相関
です。
一方、偏相関係数は、
第三の変数の影響を取り除いてから見た相関
です。
この違いを表で整理するとこうなります。
指標 何を見るか
相関係数 2変数をそのまま比べた関係
偏相関係数 他の変数の影響を除いたうえでの関係
つまり、偏相関係数は
「本当にこの2変数どうしが直接関係しているのか」
を考えるための指標です。
「他の変数を固定する」とは?
ここが一番大事です。
「他の変数を固定する」といっても、
実際に全員の を同じ値にするわけではありません。
考え方としては、
- から の影響を取り除く
- から の影響を取り除く
- 残った部分どうしの相関を見る
というイメージです。
つまり、偏相関係数は
Z で説明できる部分を除いた残差どうしの相関
と考えると理解しやすいです。
偏相関係数の式
3変数 の偏相関係数 は、相関係数を使って
rXY・Z = (rXY - rXZ rYZ) / √[(1-rXZ²)(1-rYZ²)]
で求められます。
ここで、
- : と の相関係数
- : と の相関係数
- : と の相関係数
です。
式は少し長いですが、統計検定2級では
値を代入して計算できるか
がまず重要です。
問題(実践編)
ある3変数 について、相関係数が次のように得られた。
rXY = 0.70
rXZ = 0.40
rYZ = 0.50
このとき、偏相関係数 として最も近いものを、次の 1〜5 から1つ選べ。
- 0.42
- 0.58
- 0.70
- 0.84
- 1.02
解答
2
解説
偏相関係数の公式は
rXY・Z = (rXY - rXZ rYZ) / √[(1-rXZ²)(1-rYZ²)]
である。
与えられた値を代入すると、分子は
0.70 - 0.40×0.50 = 0.70 - 0.20 = 0.50
となる。
次に分母を計算する。
1 - rXZ² = 1 - 0.40² = 1 - 0.16 = 0.84
1 - rYZ² = 1 - 0.50² = 1 - 0.25 = 0.75
したがって、
√(0.84×0.75) = √0.63 ≈ 0.794
となる。
よって偏相関係数は
0.50 / 0.794 ≈ 0.63
となる。
選択肢の中では 0.58 が最も近いので、正解は 2。
この問題で重要なのは、
普通の相関係数 0.70 よりも小さい値になることがある
という点である。
つまり、 と の相関の一部は、 の影響によって説明されていた可能性がある。
偏相関係数が小さくなるとき
普通の相関係数は大きいのに、偏相関係数が小さいときは、
見かけ上の相関のかなりの部分が、第三の変数によるものだった
と考えられます。
つまり、
「 と が直接強く結びついている」というより、
「 を通じて一緒に動いていた」可能性があります。
偏相関係数が普通の相関係数とあまり変わらないとき
逆に、偏相関係数が普通の相関係数とあまり変わらないなら、
第三の変数の影響を除いても、X と Y の関係がしっかり残る
と考えられます。
この場合、 と の関係は比較的直接的だと解釈しやすいです。
問題(実践編)
あるデータで、2変数 と の相関係数は 0.80 であった。
しかし、第三の変数 を統制した偏相関係数は 0.10 であった。
この結果の解釈として最も適切なものを、次の 1〜5 から1つ選べ。
- と の関係は、 の影響を除くとかなり弱い
- と の関係は、 の影響を除くとさらに強くなる
- と の相関は必ず因果関係を表す
- は とも とも無関係である
- 偏相関係数は必ず普通の相関係数より大きくなる
解答
1
解説
普通の相関係数が 0.80 と大きいのに、偏相関係数が 0.10 とかなり小さくなっている。
これは、
X と Y の見かけ上の強い相関の多くが、第三の変数 Z の影響によるものだった
ことを示唆する。
したがって、 の影響を除くと、 と の直接的な関係はかなり弱いと考えられる。
よって正解は 1。
ここで注意したいのは、偏相関係数は
因果関係そのものを証明する指標ではない
という点である。
また、偏相関係数が必ず普通の相関係数より大きい、または小さい、という決まりもない。
重回帰とのつながり
偏相関係数は、重回帰分析とも深く関係しています。
重回帰では、ある説明変数の効果を見るときに、
他の説明変数の影響を調整したうえでの関係
を見ています。
この意味で、偏相関係数の考え方は
重回帰モデルの読み方の基礎
にもなります。
よくあるミス
- 偏相関係数を、普通の相関係数と同じ意味で読んでしまう
→ 偏相関係数は「他の変数の影響を除いたあと」の相関である。 - 「固定する」を、全員を同じ値にすることだと思ってしまう
→ 実際には、他の変数で説明される部分を取り除くイメージである。 - 偏相関係数が小さいと、まったく無関係だと決めつける
→ 小さいことは関係が弱いことを示すが、標本誤差や有意性は別に考える必要がある。 - 相関と因果を混同する
→ 偏相関係数も、因果関係そのものを証明するものではない。
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まとめ
- 偏相関係数は、他の変数の影響を除いたうえでの相関
- 普通の相関係数との違いは、第三の変数を調整するかどうか
- 偏相関係数が小さくなると、見かけ上の相関の一部が他の変数によるものだったと考えられる
- 偏相関係数は、重回帰分析の考え方とも深くつながっている
- 統計検定2級では、式への代入計算 と 結果の解釈 の両方が重要
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練習問題(noteの記事へ)
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