等分散・不等分散の見分け方|2標本t検定の選び方【統計検定2級】

検定

2標本t検定でつまずきやすいのが、「等分散を仮定するのか/しないのか」です。
ここが曖昧だと、使う検定(等分散t検定 or Welchのt検定)が選べず、自由度や分母の式も崩れてしまいます。

この記事では、統計検定2級で迷わないために
①等分散・不等分散の意味 → ②試験での判断手順 → ③よくあるミス
の順で整理します。

この記事で分かること

  • 等分散・不等分散とは何か(何が“等しい”のか)
  • 2標本t検定で どちらを使うかの判断手順
  • F検定(分散の比較)の位置づけ
  • 試験での “指示の読み落とし” を防ぐポイント

問題(類似問題)

A社とB社の製品の強度を比較したい。A社から n1=8n_1=8、B社から n2=10n_2=10 抽出し、平均の差の検定を行う。母分散は未知である。

問1:2標本t検定を行う際、「等分散を仮定する」か「仮定しない」かは、何を基準に判断するのが最も適切か。
A. 標本平均の差が大きいかどうか
B. 標本サイズ n1,n2n_1, n_2 が同じかどうか
C. 2群の母分散が等しいとみなせるかどうか
D. 両群が正規分布に従うかどうか


解答

C. 2群の母分散が等しいとみなせるかどうか


解説1:等分散・不等分散とは?

  • 等分散:2つの母集団の分散が等しい(σ12=σ22\sigma_1^2 = \sigma_2^2)とみなす
  • 不等分散:分散が等しいとみなさない(σ12σ22\sigma_1^2 \neq \sigma_2^2の可能性を認める)

ここで重要なのは、「標本分散がたまたま近い/遠い」ではなく、母分散について等しいと仮定できるかという前提です。


解説2:統計検定2級での判断手順(これだけ覚える)

試験では、次の順で考えると迷いません。

手順①:問題文に“仮定”が書いてあるか確認

  • 「2群の母分散は等しいと仮定する」
    等分散t検定(プールした分散)
  • 「母分散は等しいとは限らない」
    Welchのt検定(不等分散)

✅ これが最優先です。書いてあればそれに従うのが正解。

手順②:仮定が書いてないとき(試験の定番パターン)

統計検定2級では、問題の意図として

  • 等分散を仮定して進めさせる(計算を簡単にする)
    ことが多いです。

ただし、次のような情報が明示される場合は別です:

  • 「分散が等しいとは言えない」などの一文
  • Welchを使うよう指示
  • 分散比較(F検定)をさせる流れがある

結論:書いてあれば従う/なければ等分散で進む設問が多い
(ただし設問の流れでWelchやF検定が示唆されることもあります)


解説3:F検定は何のため?

等分散かどうかを“検定”で判断する方法が F検定(分散比の検定)です。

  • 帰無仮説:σ12=σ22\sigma_1^2 = \sigma_2^2​(等分散)
  • 対立仮説:σ12σ22\sigma_1^2 \neq \sigma_2^2​(不等分散)

イメージとしては、

  • 分散の大きい方 ÷ 小さい方 を作って
  • F分布で「その差が偶然かどうか」を判断する
    というものです。

ただし実務では「分散が違いそうなら最初からWelch」で進めることも多く、試験では “問題文の指示に従う”が最重要です。


2標本t検定の使い分け(最小限の整理)

等分散t検定(プール)

  • 前提:σ12=σ22\sigma_1^2 = \sigma_2^2
  • 自由度:n1+n2−2
  • 特徴:式がきれいで計算しやすい

Welchのt検定(不等分散)

  • 前提:等分散を仮定しない
  • 自由度:近似式(設問で与えられる/近似値を使う)
  • 特徴:分散が違っても頑健

よくあるミス(ここが得点源)

  1. 平均の差が大きい/小さいで等分散を判断してしまう
    → 等分散は “分散(ばらつき)” の話。平均差とは別。
  2. 「標本サイズが同じだから等分散」と思い込む
    n1=n2n_1=n_2​ は計算上便利なだけで、等分散の根拠にはならない。
  3. 自由度を n−1 にしてしまう
    → 2標本(等分散)なら基本は n1+n2−2
  4. 書いてある仮定を読み落とす
    → 「等分散と仮定する/しない」が書いてある問題は、そこが採点ポイントになりがち。

追加練習(もう1問)

ある2群 A, B の平均を比較したい。各群の要約統計量は次の通りである。

A群:標本サイズ nA = 10,標本平均 x̄A = 52,標本分散 sA² = 4
B群:標本サイズ nB = 12,標本平均 x̄B = 49,標本分散 sB² = 25

母分散はいずれも未知である。
このとき、2群の平均差を検定する方法として最も適切なものを、次の 1〜4 のうちから1つ選べ。

  1. χ²検定を用いる

    2. 等分散を仮定した2標本t検定を用いる

     3. 不等分散を仮定した2標本t検定(Welchのt検定)を用いる

     4. 1標本t検定を用いる

    解説

    この問題のポイントは、
    「平均差を見たい」こと
    「等分散を仮定してよいか」
    の2点です。

    まず、平均の差を比べたいので使う候補は 2標本t検定 です。
    したがって 3 や 4 は不適切です。

    次に、等分散を仮定してよいかを見ます。
    標本分散は

    A群:4
    B群:25

    であり、かなり差があります。

    標準偏差で見ても、

    A群:2
    B群:5

    となり、B群のばらつきの方がかなり大きいことが分かります。

    このような場合、等分散を仮定するのは不自然 なので、
    より適切なのは

    不等分散を仮定した2標本t検定(Welchのt検定)

    です。

    したがって正解は 2 です。


    まとめ

    • 等分散/不等分散は 母分散が等しいとみなせるかの話
    • 試験ではまず 問題文の仮定を探す
    • 等分散なら 自由度 n1+n2−2、不等分散なら Welch(自由度は近似)
    • 迷ったら「指示に従う」が最優先

    note演習問題

    同じ型の問題をまとめて練習したい方へ:
    統計検定2級「検定」ドリル10問+解説

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