統計検定2級では、χ²分布(カイ二乗分布) がよく登場します。
ただ、最初は
- どんな形の分布なのか
- 正規分布やt分布と何が違うのか
- 何のために使うのか
がつかみにくいです。
χ²分布は、χ²検定だけでなく、母分散の区間推定や検定にも関係する重要な分布です。
この記事では、
- χ²分布の意味
- 自由度による形の違い
- どんな場面で使うのか
- よくあるミス
を整理します。
この記事で分かること
- χ²分布とは何か
- χ²分布の形と特徴
- 自由度が変わるとどうなるか
- 統計検定2級での主な使い道
- 正規分布・t分布との違い
χ²分布とは?
χ²分布は、標準正規分布に従う変数を二乗して足し合わせたものの分布です。
たとえば、互いに独立な標準正規分布
Z1, Z2, ..., Zk ~ N(0,1)
があるとき、
Z1² + Z2² + ... + Zk²
は 自由度 k の χ²分布 に従います。
χ²分布のイメージ
χ²分布のポイントは、二乗しているので負の値を取らないことです。
つまり、
- 値は 0以上
- 左右対称ではない
- 右に長く尾を引く形になる
という特徴があります。
正規分布のような左右対称の山ではなく、右に歪んだ分布になるのが大きな特徴です。
自由度によって形が変わる
χ²分布は、自由度によって形がかなり変わります。
自由度が小さいとき
- 0付近に山ができやすい
- 強く右に歪む
自由度が大きくなると
- 分布の山が右に移る
- 相対的に左右対称に近づく
- ばらつき方がなだらかになる
つまり、自由度が小さいほど歪みが強く、大きいほど滑らかになると覚えるとよいです。
χ²分布表
この表は χ²分布の上側確率表です。
行が自由度、列が上側確率で、交点の値が臨界値 χ² になります。
たとえば、自由度10・上側確率0.05なら χ² = 18.307 です。

| 自由度 | 0.10 | 0.05 | 0.025 | 0.01 | 0.005 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2.706 | 3.841 | 5.024 | 6.635 | 7.879 |
| 2 | 4.605 | 5.991 | 7.378 | 9.210 | 10.597 |
| 3 | 6.251 | 7.815 | 9.348 | 11.345 | 12.838 |
| 4 | 7.779 | 9.488 | 11.143 | 13.277 | 14.860 |
| 5 | 9.236 | 11.070 | 12.833 | 15.086 | 16.750 |
| 6 | 10.645 | 12.592 | 14.449 | 16.812 | 18.548 |
| 7 | 12.017 | 14.067 | 16.013 | 18.475 | 20.278 |
| 8 | 13.362 | 15.507 | 17.535 | 20.090 | 21.955 |
| 9 | 14.684 | 16.919 | 19.023 | 21.666 | 23.589 |
| 10 | 15.987 | 18.307 | 20.483 | 23.209 | 25.188 |
| 11 | 17.275 | 19.675 | 21.920 | 24.725 | 26.757 |
| 12 | 18.549 | 21.026 | 23.337 | 26.217 | 28.300 |
| 13 | 19.812 | 22.362 | 24.736 | 27.688 | 29.819 |
| 14 | 21.064 | 23.685 | 26.119 | 29.141 | 31.319 |
| 15 | 22.307 | 24.996 | 27.488 | 30.578 | 32.801 |
| 16 | 23.542 | 26.296 | 28.845 | 32.000 | 34.267 |
| 17 | 24.769 | 27.587 | 30.191 | 33.409 | 35.718 |
| 18 | 25.989 | 28.869 | 31.526 | 34.805 | 37.156 |
| 19 | 27.204 | 30.144 | 32.973 | 36.191 | 38.582 |
| 20 | 28.412 | 31.410 | 34.170 | 37.566 | 40.000 |
| 21 | 29.615 | 32.671 | 35.479 | 38.932 | 41.401 |
| 22 | 30.813 | 33.924 | 36.781 | 40.289 | 42.796 |
| 23 | 32.007 | 35.172 | 38.076 | 41.638 | 44.181 |
| 24 | 33.196 | 36.415 | 39.364 | 42.980 | 45.559 |
| 25 | 34.382 | 37.652 | 40.646 | 44.314 | 46.928 |
| 26 | 35.563 | 38.885 | 41.923 | 45.642 | 48.290 |
| 27 | 36.741 | 40.113 | 43.195 | 46.963 | 49.645 |
| 28 | 37.916 | 41.337 | 44.461 | 48.278 | 50.993 |
| 29 | 39.087 | 42.557 | 45.722 | 49.588 | 52.336 |
| 30 | 40.256 | 43.773 | 46.979 | 50.892 | 53.672 |
| 40 | 51.805 | 55.758 | 59.342 | 63.691 | 66.766 |
| 60 | 74.397 | 79.082 | 83.298 | 88.379 | 91.952 |
| 120 | 140.233 | 146.567 | 152.211 | 158.950 | 163.648 |
問題(類似問題①)
χ²分布の特徴として適切なのはどれか。
A. 負の値も取る
B. 左右対称である
C. 0以上の値を取り、右に歪んだ形をする
D. 自由度によらず形は同じ
解答
C
解説
χ²分布は、標準正規分布を二乗して足し合わせた分布なので、負の値は取りません。
また、左右対称ではなく、一般に右に歪んだ形をしています。
さらに、自由度が変わると分布の形も変わります。
χ²分布は何に使うのか?
統計検定2級での主な使い道は次の2つです。
χ²検定
- 適合度の検定
- 独立性の検定
カテゴリーデータを扱うときによく使います。
母分散に関する推定・検定
- 母分散の区間推定
- 母分散の検定
特に正規母集団では、標本分散から χ²分布が出てきます。
分散との関係
χ²分布は、標本分散と深く関係しています。
正規母集団から標本を取ったとき、
(n - 1)s² / σ²
は、自由度 n−1 の χ²分布 に従います。
この結果を使うことで、
- 母分散の検定
- 母分散の信頼区間
を作ることができます。
ここは統計検定2級で非常に重要です。
正規分布・t分布との違い
ここは混同しやすいので整理しておきます。
| 分布 | 主な特徴 | 値の範囲 | 代表的な用途 |
|---|---|---|---|
| 正規分布 | 左右対称 | 負も正も取る | 標準化、z検定 |
| t分布 | 左右対称、裾が厚い | 負も正も取る | t検定、母平均の推定 |
| χ²分布 | 右に歪む | 0以上 | χ²検定、母分散の推定 |
問題(類似問題②)
自由度が大きくなると、χ²分布はどう変化するか。
A. 負の値を取るようになる
B. 右への歪みが相対的に小さくなる
C. 左右対称になる
D. 常に平均0に近づく
解答
B
解説
χ²分布は自由度が大きくなるほど、右への歪みが相対的に小さくなり、形がなだらかになります。
ただし、正規分布のように完全な左右対称になるわけではありません。
統計検定2級での見方
現時点では、χ²分布について次の3点を押さえれば十分です。
- 0以上の値しか取らない
- 自由度で形が変わる
- χ²検定と母分散に関する問題で使う
特に今後、
- χ²検定の記事
- 母分散の区間推定の記事
を読むときの土台になります。
よくあるミス
- χ²分布を左右対称だと思ってしまう
→ χ²分布は基本的に右に歪んでいます。 - 負の値を取ると思ってしまう
→ 二乗和なので 0以上 です。 - 自由度が増えても形は同じだと思ってしまう
→ 自由度によって形はかなり変わります。 - t分布と用途を混同する
→ t分布は平均、χ²分布は分散やカテゴリーデータで使うことが多いです。
追加練習
問1
χ²分布が負の値を取らない理由を、ひとことで説明してください。
解答例
標準正規分布に従う変数を二乗して足し合わせたものだから。
問2
χ²分布を使う代表的な場面を2つ挙げてください。
解答例
- χ²検定
- 母分散の検定や区間推定
まとめ
- χ²分布は、標準正規分布を二乗して足したものの分布
- 値は 0以上
- 左右対称ではなく、右に歪んだ形
- 自由度が大きくなると、形はなだらかになる
- χ²検定や母分散の推定で重要
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練習問題(noteの記事へ)
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